▲四天王寺の中心伽藍、五重塔は内部拝観もできる

聖徳太子の心を今に伝える
日本仏法最初の官寺

幾多の罹災に遭っても人々の信心の力で復興

推古天皇元年(五九三)、聖徳太子によって創建された日本仏法最初の官寺、 四天王寺。崇仏派の蘇我氏と排仏派の物部氏が戦った際、蘇我氏側に立った太子が、戦勝すれば四天王を安置する寺を建立し衆生救済につとめると祈願し、勝利のあと本寺を建立し誓いを果たしたと伝わります。
境内中央にある中心伽藍は「四天王寺式伽藍(がらん)」といわれる寺院配置で、南から北へ中門、五重塔、金堂、講堂が一直線に並び、周囲を回廊が囲んでいます。これは六~七世紀の中国や朝鮮半島の様式を今に伝える貴重なもので、日本では最も古い伽藍の形式といわれ、法隆寺式伽藍(五重塔と金堂が東西に横並びになっている)と対になって紹介されます。
奈良時代の講堂の倒壊をはじめ、石山本願寺の合戦にて織田信長の焼き討ち、大阪夏の陣での焼失、昭和九年の室戸台風での五重塔崩壊、最後に昭和二十年の大阪大空襲では境内南側のほぼ全域が焼失するなど、四天王寺は幾度も罹災しますが、その都度、多くの人々の寄進の力でよみがえりました。
また太子は四天王寺の建立にあたって「四箇院(しかいん)の制」という制度を導入しました。四箇院とは、敬田院(きょうでんいん)、施薬院(せやくいん)、療病院(りょうびょういん)、悲田院(ひでんいん)から成り、敬田院は寺院そのもの修行と教育の道場(つまり学校)、施薬院はや薬草を育てて人々に配る施設(つまり薬局)、療病院は傷ついり病気になった人達を治療する施設(つまり病院)、悲田院は親を失った子供や養ってくれる子供を亡くした老人のための社会福祉施設にあたります。その理念は1400年経った今日にも引き継がれ、敬田院は学校法人四天王寺学園として仏教教育を実施し、悲田、施薬、療病院は社会福祉法人四天王寺福祉事業団に継承発展させています。

聖徳太子の存在を身近に感じられるお寺

聖徳太子が最初に建立された官寺(聖地)として、「太子信仰」とともに歩んできた四天王寺。太子を祀る聖霊院(しょうりょういん)・太子前殿・奥殿をはじめ、大工技術の始祖ともいわれる太子の偉業を顕彰する番匠堂(ばんしょうどう)や太子が極楽浄土へ導くと伝わる引導石、太子の伝説が描かれた「太子絵伝」の奉納された絵堂(毎月22日ご開扉)、西の休憩所(和労堂)には中央に太子像がお祀りされています。あるいは、太子の誕生を祝う生身供(1/12)や、太子二歳まいり(2/22)、命日を偲ぶ聖霊会舞楽法要(4/22)など、聖徳太子の存在が身近に感じられるゆかりのお堂・史跡や行事が数多くあります。
▲太子のご命日を偲んで行われる「聖霊会」は重要無形民俗文化財!

浄土信仰や霊場巡りとも結びつきの強い聖地

また四天王寺は、彼岸の中日に石の鳥居の真ん中に夕日が沈む光景が眺められることから南無阿弥陀仏の「浄土信仰」とも結びつきが深く、多くの参拝者で賑わう春と秋の彼岸には、夕日を拝んで極楽浄土を観想する「日想観(じっそうかん)」という法要が伝統行事として引き継がれています。さらに、空海・最澄をはじめとする数多くの高僧が参拝されている事から、日本における巡礼全般の聖地として、四天王寺は宗派や時代を超えて広く信仰を集め、今日に至っています。
▲日本三鳥居の一つに数えられる四天王寺西門の「石の鳥居」中央の扁額には「ここは極楽の東の門である」と刻まれている。
これは必見!

●絵堂「聖徳太子御絵伝の障壁画」

聖徳太子のご一代の事蹟が描かれた絵伝の壁画を安置する絵堂。四天王寺にはじめて絵堂ができたのは、太子のお亡くなりになった130年後の奈良時代、宝亀2 年(771)。以来、四天王寺は太子信仰の布教に大きな役割を果たしてきました。現在の絵堂は、杉本健吉画伯が聖徳太子伝暦をもとに8年の歳月を費やして制作し、昭和58年に完成したものです。毎月22日の「太子会」でのみ、一般に無料開放されます。
▲4月と10月には僧侶による「絵解き」も開催される

●連日およそ1万本のローソクが灯される万灯供養

8月9日~16日までのお盆期間中には、中心伽藍内に特設のローソク立てが設置され、夕刻より、ご先祖の霊名が記されたローソクに火が灯され、般若心経の読経のなか僧侶が伽藍内を練り歩く「万灯(まんとう)供養」が厳修される。連日だいたい1万本以上のローソクが奉納されるので、幻想的なムードでご先祖の迎え火・送り火として人気を呼んでいる。
▲万灯ローソクは宗派問わず、どなたでも購入できる(1本700円)

●四天王寺の伽藍拝観料が無料になる時間帯!

なにわ七幸の社寺の境内は基本的にどこも無料開放されているが、四天王寺の中心伽藍に関しては有料(大人300円)となっている。しかし日程や時間帯によっては無料で入ることが許されているので、ぜひ活用していただきたい。

縁日と呼ばれる期間、毎月21日は大師会、毎月22日は太子会、春と秋の彼岸会の各1週間、夏のお盆(8/9~16)は中心伽藍が終日無料開放されている。縁日は境内に露店も出ているので楽しいという反面、境内に車を停めることができなくなるので要注意だ。
▲露店が境内に軒を並べる四天王寺の縁日。毎月21日は大盛り上がりをみせる。
また、中心伽藍内の金堂で毎日午前11時から厳修されている「舎利出(しゃりだし)」という法要に参列される方は無料でチケットブースを通過することができるぞ。舎利出の法要では、四天王寺が長年に渡り保持しているお釈迦様のお舎利(御骨)を頭に当てて功徳をいただけるという有難い法要なので、無料で行われているので、時間に都合が合う方には体験していただきたい。金堂では先祖供養のご回向も受け付けているので、希望者には舎利職の僧侶が直々にお経をあげていただける。(ご回向は有料)
▲毎日午前11時からは金堂にて舎利出(しゃりだし)法要が厳修される。
データ
四天王寺 してんのうじ
【家内安全】
朱印時間 9:00~16:00
四天王寺のホームページ
大阪市天王寺区四天王寺1-11-18
☎06-6771-0066
最寄り駅⇨四天王寺前夕陽丘ヶ駅(地下鉄)4号出口直進し左側[徒歩5分] 天王寺駅(JR)[徒歩15分]
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